未完の二大作

「 アンギアリの戦い 」

The Battle of Anghiari

私が尊敬してやまないレオナルド・ダ・ヴィンチは、2019年5月に没後500年を迎えます。

その頃までには、彼の未完の二作品、
大壁画「アンギアリの戦い」と
大作「マギの礼拝」(東方三博士の礼拝)
を描きたいと20年ほど前から構想を抱いておりました。

「アンギアリの戦い」はダ・ヴィンチ最大の大作と言われた壁画です。
レオナルドはイタリア・フィレンツェのヴェッキオ宮殿大広間でその壁画を描いていましたが、完成することができなかったようです。
その後、壁ごと失われたと考えられています。
いろいろな画家がその壁画を模写しました。
私は、ルーベンスが描いた下絵に基づいて、私なりの「アンギアリの戦い」を再現させました。

「マギの礼拝」(東方三博士の礼拝)は聖母マリアがイエスを産んだ後、東方からの三人の賢者が礼拝に訪れてきたという聖書の場面を描いたものです。
しかし、レオナルドは制作途中、旅に出てしまったため、未完のままとなってしまいました。
この作品に関する資料が少なくて、困難を極めましたが、私なりのアレンジで10年以上かけて、昨年やっと完成させました。
大変な作業でしたが、良い図柄になったと自負しております。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、絵画のみならず多方面に偉大な功績を残しました。
謎も多いですが、私にとってこの未完の二作品に寄せる思いは強く、絵を描く者として、この二つの作品に出逢えたことは幸せでした。

2016.02

三原　它休身